ロードヒポキシス

可憐、無意識

フィルムカメラはじめました

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新たなる沼へ 今回は無駄に長文

デジタル→アナログ

 最近LPレコードが再燃したりとかアナログ回帰が起きているとニュースとかで取り上げられている割にはフィルムカメラ女子!みたいな感じでフィルムを取り上げられることが少ないように感じる。もしかしたら知らないところで取り上げられているかもしれない。

 自分が小学生低学年あたりまでは親がフィルムの一眼レフを使っていた。確かα-5xiかα-3xiだったと思う。というのもグリップのゴムが劣化してボロボロになり気がついたら処分されていたから。キットレンズだったのだろう、MINOLTA ZOOM Xi 28-80mm F4-5.6の標準ズームレンズだけは残されていたので現在はそのまま自分のα77へ装着されている。

 当時のカメラは幼い自分も触ったことは覚えていて、何枚か撮ったとされる写真も残っている。αのXiの世代なので記録媒体がフィルムという以外はズームもAFも電動だし今のデジタル一眼と下手するとコンデジと並の操作系だったので扱えたのだと思う。撮影後の巻き取りのモーターの音が好きだった記憶がある。

PENTAX SP

 世の中はデジタルカメラ一色で、一般人にはもはやスマホについているカメラで十分という風潮の中よりによってフィルムの、それも機械式のものに手を出したかというと、以前購入したM42のロシアンレンズであるHelios 44-2がどうにもマウントアダプター経由での見た目がいまいちに感じたから。というのもHeliosはマウントアダプター付近の経が小さく、マウントアダプターをつけると真ん中がくびれたようになってしましそこが自分としてはあまりよく思わなかった。

kou014.hateblo.jp

 となるとM42マウントがつくのはフィルムカメラしかないのでいっそのことこの際フィルムカメラに手を出してみた次第である。最初はHeliosと同じロシアのFED社のカメラを使ってみようと思ったものの、初っぱなから難しいものに手を出すのには気が引けたため、ネット上で分解整備の情報が整っていて且つ数も出ているので入手性がよいPENTAX SPを選んだ。

 購入場所はフジヤカメラで1000円。一応シャッターが切れてファインダーがきれいな個体を選んだ。シャッターさえ切れれば後は油刺す程度で使えるだろうと踏んだためである。

分解整備

 しかしそうは問屋が卸さず、モルトプレーンというフィルムに無駄な光が入って感光しないようにするスポンジが全体的にボロボロだったり露出計の電池が液漏れしていて蓋が固着しているなどよくよく見たらありがちな症状が出まくりのカメラだったので修理することに。

ジャパンホビーツール モルトプレーン のり付き(1.5mm)

ジャパンホビーツール モルトプレーン のり付き(1.5mm)

無水エタノールP 500ml

無水エタノールP 500ml

 古いモルトプレーンエタノールをつけた綿棒で糊を浮かせながら丁寧に除去していく。分解中の写真は作業に時間がかかったため例によって無し。フィルムを入れるところの蓋の溝とミラーアップする部分を張り替えた。液漏れしていた電池も蓋にクレ5-56を注入しながら何とかこじ開け、液漏れをきれいにした後ボタン電池を入れ直した。当時は水銀電池が利用されていたが今は製造していないため、適当なアルカリ電池を入れた。

 ちなみに取説は今でも電子版がリコーのHPで手に入れることができる。よくよく読んでみると(当時)PENTAX SPからカメラに手を出すような初心者にもわかりやすく写真の基礎から書いてあるのでPENTAX SPをもってなくても一度見ることをお勧めする。

使用説明書 / ダウンロード / サポート | RICOH IMAGING

 取説を見ながら露出計のスイッチを入れてみるが針が上に張り付いたままになっている。電池いれる前は下に張り付いていたので中で針が物理的に壊れているのかと思ったら露出超過なだけだった。しかしスイッチをいじってもオフになる気配がなく、いろいろ調べてみると露出計のスイッチの接点が中で接触したまま固着していただけだった。油を刺したらスイッチは効くようになったしシャッターを切れば自動でオフになるようになった。

撮影編

 一通り動くようになったのでとうとう外に持ち出して撮影をすることに。さすがに高いフィルムを失敗させると痛いのでキタムラで安売りしていたフジカラーのX-TRA 400を買う。説明書通りに裏蓋を開け、フィルムを装填して最初に2回シャッターを切ってフィルムが進んでいくことを確認する。

 撮影するときはフィルムを一コマ巻き、露出計のスイッチを入れ、ピントを合わせ、針が真ん中に来るようにシャッター速度と絞りを調整してシャッターを切る。中でバネとミラーの音がする。とても気持ちがいい。いかにも精密機械を触っているかんじになる。実際露出計以外バネと歯車で構成された構造だし露出計だって理科で習うような抵抗のブリッジ回路と電流計だ。現代のデジカメからしてみればむしろこんなのでよく写真が写るのだと不思議に思う位だ。

 と思いながら近所をカメラ片手にふらふら散歩して24枚取り終わった後、レバーを回してフィルムを最後まで巻き取る。ちょうどよく近所にフィルムの現像ができる写真屋さんがあったのでその場で現像してもらうことした。

 デジカメはある意味、「数万出して買えば後は無料で写真が撮れる」というソシャゲーのガチャみたいな感じで使えるのだが、フィルムに関してはフィルムと現像代、後はプリントかCDに焼いてもらうかとランニングコストがとても高い。まぁデジカメでたとえれば心臓部であるイメージセンサーを毎回取っ替えるようなものだから分からなくはないが、手軽さ的にはフィルムが廃れるのは仕方がなかった気がする。

3/24

 上の数字は日付ではなく成功した写真の数。店員が「えーとこちらが仕上がった・・・3枚!??」というリアクションをされながら現像されたフィルムとインデックスとフジカラーCDが手渡された。現像代併せて1070円。一枚あたり300円ちょい。実際はフィルム代が300円ぐらい入るのでもうちょっと高い。なんてコスパだ。

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 これがそのうちの1枚。完全に試し撮りの写真で、左が完全に感光している。実はフィルムの始めに巻き取る2枚のうちの1枚なので本来なら24枚にカウントされないコマである。よりによってこれが生き残っていた。

 原因はあっさり特定され、PENTAX SPの1/1000秒のシャッターがシャッター幕が開かないことによる失敗であることが分かった。どうやらこの症状はバネの寿命らしいことが分かったので仕方なく1/500秒以下のシャッター速度で使うことにした。

2度目は成功

 今度は現像に出すときに「10コマ以上成功していたらCDに焼いて」と注文をつけ、3枚のJpegファイルが記録された悲しいCD-Rが量産されないことを祈りながら1時間待つと、今度は24枚すべてが成功したフィルムが現像されてきた。やはりシャッターの不調のようだった。

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 といっても全部が完全に成功というわけでもなく、幕が不安定なのか最初の方のコマがいくつか影になってしまっていた。

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 画質に関しては以前のレビュー通りレンズが良いのかとても高解像度に写っている。フィルムのせいか写真屋さんでCDに取り込むときのスキャナの味なのか少し褪せた感じの発色になっているが、一見するとデジタルとそう変わらない画質である。昔親のαで撮っていたときってこんなにきれいだったっけ。記憶だとフィルムってそこまで画質良くない印象だったので結構驚いた。Xiレンズのせいなのだろう。

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 というわけで試し撮りもそこそこ成功に終わったのでいずれどこかに遠出したときにはこれで撮影をしてみたいと思います。

おわり。