iPod Video(5.5世代)の容量を128GBにして現役復活させる
音楽プレイヤーとしてまだまだ長生きしてもらおう
iPod Videoを手に入れた
あるとき秋葉原の杉本ガレージにてiPod Videoの30GBモデルを見つけました。触らせてもらうと初期化はされているみたいだけれども動作はする。店の人に聞いたところ「イヤホンジャックから音が出ない」と言われて値下げもしてもらい購入。2,000円でした。帰って詳しく調べるとイヤホンジャックは特に問題ありませんでした。HDDも動くし完全にあたりを引きました。
iPod VideoはiPod系列で第5世代(マイナーチェンジの5.5世代も存在)で、初めてビデオ再生に対応したモデルです。この次のモデルがクリックホイール(くるくる)のついたiPodの最終モデルであるアルミ外装のiPod Classic(第6, 6.5世代)です。
iPod VideoとiPod Classicでは筐体や画面の大きさなどとても似ている部分が多いですが、iPod Classic以降のモデルではオーディオの音質を決めるデジタルデータをアナログの信号に変換するDACと呼ばれる回路がCPUも含めたLSIに集約され、iPod Videoのように独立したDACチップを搭載した物と比べると音質が劣るとポータブルオーディオ界隈では言われています(聞き比べたことが無いので分からないですが…)
三枚おろし
何もしなくても動いてしまったiPod Videoですが、流石に30GBだと手持ちのライブラリがギリギリ入らない(転送時にビットレートを落とせば何とか入る)ので、例によって大容量化します。開け方はググると詳しい分解方法がいっぱい出てくるので割愛しますが、カードやらをステンレスのバックパネルとプラの間に突っ込みプラ側の爪を外していく感じです。ステンレスのバックパネルが変形しやすいので下手に曲げると組み直したときにがたがたになるので注意。もし曲げちゃっても外した時にハンドパワーで曲げれば大丈夫です。
シリコンディスク化の選択肢は3つ
前回のiPod miniの時はコンパクトフラッシュの形状だったので換装もコンパクトフラッシュかSDカードをコンパクトフラッシュに変換するアダプターぐらいの選択肢でしたが、iPod Video(とiPod Classic)ではさらなる大容量や高速なストレージを目指す人たちのiPod愛によって様々な変換方法があります。主な3つとそのメリット、デメリットを以下にまとめます。
1. mSATA-SSD+IDE変換基板
メリット
- 転送速度が速い
- 価格対容量比が安い
デメリット
- 相性が厳しい
- バッテリーの持ちが悪い
- 厚型モデルにしか入らない
2. SDカード+IDE変換基板
メリット
- バッテリーの持ちが良い
- 消費電力が低い
- 薄型モデルにも詰め込める
デメリット
- 転送速度が遅い(SDカードに依存)
3. CFカード+IDE変換基板
メリット
- 相性問題がほぼ起きない
- 変換基板が安い
デメリット
- 高速大容量のCFがあまり安くない
- 変換基板によっては薄型モデルに入らない
結論から言うと1TBとか頭おかしいストレージ容量が欲しい人はmSATA-SSDを使った換装にチャレンジしてもらって、128GB ~ 256GBぐらいが欲しければSDカード、128GB以下であればコンパクトフラッシュという選び方をしていいと思います。特にmSATAは最近のノートPCに使われているようなSSDを無理矢理変換してiPodに詰めているので相性問題がかなりシビア(とくに1TB)で、もし認識できても消費電力が大きい(変換基板が制御できていない?)ので駆動時間がHDDの時より短くなるという容量と高速化以外のメリットが削られます。
ここで注意するのはiPod Video以降の機種では容量の小さいモデルと大きいモデルでバックパネルの厚さが異なり(HDDの厚さが容量で変わるため)コンパクトフラッシュのコネクタの厚さが薄型モデルだと入りきらない可能性があります。自分のiPod Videoも30GBの薄型モデルのため、今回は2. のSDカードと変換基板を用いた換装を行いました。
SDカード変換基板 iFlash-Dual
今回はiPod Video以降の機種用の形状になっている変換基板を購入しました。海外のiFlashというところのSDカード2枚差し基板iFlash-Dualです。PayPalで決済でき、15日程度でポストに届きました。
iFlash.xyz – Welcome to the home of the iFlash Adapter
基板の裏側にフルサイズのSDカードスロットが2つあり、ここに挿入したSDカード2枚の合計容量を1台のSSDとして認識します。いわゆるRAIDのような冗長化機構では無く、単純なJBOD(ただのディスクの束)なので2枚のSDカードが異なる容量でもそのまま足し算した容量になります。
基板を買ったときに付いてきた取り扱い説明書には「スロット1側に挿したSDカードに楽曲のデータベースが書き込まれるから高速な方がいいよ」とあります。基板上のチップでどういう変換をしているかは分かりませんが、一般的に転送速度が高速になるHDDの円盤の外周側がSDカードのスロット1に該当するのでこっちの読み書き性能が高ければキビキビ動くということでしょうか。
SDカードは取説に詳しいモデル別対応状況が書いてありますが、最低でもClass 10のUHS-1以上のスペックを持つやつを選べば動かないことは無いと思います。今回はたまたま揃った(ラベル面が違いますが)シリコンパワー製の64GBのmicroSDXCをアダプター経由で使いました。これはAmazonのタイムセールの常連で転送速度を示すClass 10のUHS-1規格です。
SP シリコンパワー Elite microSDXCカード 64GB UHS-1対応【最大読込85MB/s】防水 防塵 耐X線 永久保証 (アダプタ付) SP064GBSTXBU1V20SP
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バッテリー交換
今回はついでにバッテリーの交換も行いました。iPod miniと比べて何回も分解するのは骨が折れるので一気にやった方が良いです。バッテリーはバックパネル側に両面テープで張り付いているのですが、バックパネルとバッテリーの間にHOLDスイッチのケーブルも這っているのでバッテリーをはがすときに勢いでちぎらないように注意。
ちなみに容量による厚さの違いでバッテリーも容量が違うのでよく見て買ってください。
iPodvideo60/80GB第5世代用交換バッテリー(750mAh) 電池-531117
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iPod video 第5世代 交換バッテリー (480mAh) 電池-531018
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組み立て
組み立てはHDDを取り出すときとは逆の手順です。iFlash-Dualの基板がバックパネルに当たってチップがショートしそうだったので養生テープを貼り付けました。(あとから知ったけど付属していたクッション材を[Foam PAD]の所に貼り付ければ良いだけでした。)バッテリーのコネクタが最後に接続するので間違っても金属のピンセットでショートさせないように。爪楊枝あたりで弄りましょう。
うまくいくとiTunesに接続しろと画面に出ます。HDDのコネクタの接触不良とかで一発で認識するとは限らないので分解の手間を省くためにバックパネルを半開きで作業するとやりやすいです。
あとはディスクユーティリティで確認。今回は64GBを2枚使ったので合計128GBでちゃんと認識しています。
iTunesを立ち上げると復元作業が始まり、
存在しないはずの128GBモデルのアイコンが出て使えるようになりました。
使い心地とか
シリコンディスク化した一番の恩恵は先送りなどの楽曲移動時などの挙動がとてもキビキビしたことです。iPod Video以降は2,3曲ぐらいを一気にHDDからメモリ上にキャッシュするのですが、再生画面で何曲も先送りしたときなどHDDの時は改めてキャッシュするためにHDDがスピンアップを始め、フリーズしたかのような挙動を示しましたが、そのようなことが無くなってストレス無く曲送りすることができるようになりました。
バッテリーもシリコンディスク化による消費電力の低減やバッテリー自体を新品に交換した効果もあって、40時間以上に伸びた印象です(交換後は2, 3回充放電を繰り返すと本領発揮される)。少なくとも停止し忘れていてずっと再生しっぱなしでも2日の終わりぐらいに電池が切れたのでバッテリーの持ちは大幅に改善されました。
唯一の不満点が最初の楽曲転送時の大量アクセス時のパフォーマンスが妙に遅いことで、5000曲超(約40GB)を転送するために一晩かかりました。もっと速いSDカードを使えば良いのかもしれないですが2枚のSDカードを制御して変換するチップの性能のせいでもありそうなのであまりにクソ高いSDカードを買ってもそこまで改善されそうに無いです。遅く感じたのは大量の楽曲転送時だけなのでほっとけば気になりません。次以降は少量なので。
と今回はiPod miniに続いてiPod VideoのHDDを換装しましたが、やっぱり壊れやすそうなHDDが無くなって軽く、衝撃にそこまで心配する必要がなくなったのが精神衛生上とても良いです。
おわり