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軽い速いうまい:α6000レビュー(2)ファインダーやキットレンズなど

この記事で紹介した「α6000(ILCE-6000L)」はαアンバサダープログラムの
モニター企画でお借りしたものです。

 α6000をお借りしてからそろそろ1ヶ月の期限が近づいてきました。色々と忙しくてあまり触れる時間が作れなかったのですが、今回はファインダーやAF、キットレンズであるE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSについて気になったことなどを書きたいと思います。

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ファインダーについて

 α6000はファインダーに有機ELディスプレイを用いたEVF(電子ビューファインダー)を搭載しています。電子ビューファインダーは多くの一眼レフが搭載するOVF(光学ビューファインダー)とは異なり、映像素子に取り込まれた映像を電子的に表示する仕組みです。SONYのαはミラーレスだけではなくすべてのαにEVFを採用しており、OVFとは違ってデジタル的な処理が間に挟まるから映像に遅延が生じるだとかでαに良い印象を持っていない人もちらほら見かけます。個人的には原理的なデメリットより、デジタル化することのメリットのほうが大きいと思うのでEVFには賛成の立場です。

 まず機構的な利点として従来の一眼のOVFに必要となるプリズムが不要となるためミラーレスのαにも搭載可能となったこと、機能的な面では有機ELディスプレイとなったことにより、より多くの情報を表示できるようになったことです。例えば露出やホワイトバランスの設定を適用した状態でファインダーを使えたり、撮影後のプレビューや設定画面を表示できたりします。なのでファインダーを覗きながら右手のグリップ側に集中して配置されたボタンで操作ができ、ファインダーから一切目を離さずにすべての操作が行えます。

 α6000に搭載されたEVFは0.39インチの144万ドットのものです。自分が普段使っているα77のEVFは0.5インチの235万ドットとα77のほうがスペックは上です。確かにα77のEVFのほうが全体的に解像度の高い表示ですが、α6000のEVFでも基本的な性能は抑えてあるので十分にEVFの恩恵を受けることができると思います。個人的には次のモデルでスペックアップして欲しいところです。

キットレンズ

 今回お借りしたパワーズームレンズキット(ILCE-6000L)はキットレンズとしてE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSが同梱されています。このレンズはスペックとしては標準ズームに位置する普通の画角をカバーするレンズで、F値も特別明るいものではないのですが、これの特徴としては電動ズームを搭載していて非使用時には小さく縮みます。最初の写真はせり出した状態ですが電源を入れるとここまで自動で出てきます。オリンパスのパワーズームだと手動でせり出させないと使えないというカッコ悪いことになって居たりします。(アレはアレで電源と連動させたりできるけれど。)

 ズームの動作も電動で行うため、鏡胴にはスライド型のズームスライダーが有りますが、フォーカスリングをズームリングとして動作させることができます。(マニュアルフォーカス時には無効)この時の操作の感覚は、通常のズームレンズを扱うときのようにキビキビ動くのでとてもよい感触です。

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 写りとしてはF値を少し絞ればはっきりとした描画になり、中央部はとても解像度が高いです。ですが開放では周辺が結構甘めに出てしまいます。原因としてはレンズの構造的に撮影直後の無補正の状態ではかなり湾曲しており、レンズに内蔵された補正係数によってカメラ内部で自動的に補正されます。ソフト的な補正に頼りすぎな部分が有りますが、電動ズームを搭載しながらここまでのサイズに収めたのはすごいと思います。

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AF速度

 結論からいうとこいつのAF速度はアホみたいに速いです。通常ミラーレスと呼ばれるミラーボックスの無い一眼レフは、AFを行うための測距に位相差AFを用いることはできません。これは位相差AFを行う際に必要なミラーボックスを排除したためであり、これによって今までのミラーレス一眼では画像中の像のコントラストのピークを探索するコントラストAFと呼ばれる仕組みを用いています。位相差AFでは一回の測距でレンズを"どっちの方向に"、"どのくらい動かすか"が求められるため、非常に速いAFが可能となります。一方でコントラストAFでは、現在の画像のコントラストを計算しレンズを少しづつずらすことによってコントラストがピークを得る(=ピントが合う)まで繰り返されます。各社によって動かす幅などアルゴリズムが異なりますが、基本的にはAF速度は位相差AFにはかないません。

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 ここでα6000にはイメージセンサーの画素の間に位相差AF用のセンサを同時に集積した「像面位相差AF」を搭載しています。α6000では中央部に179点(つい先日に発表されたα7IIRでは399点…しゅごい)搭載されており、この像面位相差センサではシャッター半押しでほぼ迷うことなくピントが速攻で合います。またAFモードをAF-C(追跡AF)モードにすれば動体にも食い付くようにAFが作用し、秒間11コマの連写と組み合わせることでこのクラスのカメラとしてはほぼ最強です。

最後に

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 α6000はSONYが像面位相差AFとしてのAF速度を追求したモデルであり、対応したレンズを用いれば満足したAF速度が出るので、動体を主に撮影するけれど重くて大きいカメラは必要ないような家族向けなどにとても向いたカメラのような印象を受けました。しかしEVFWiFiなどほぼほぼ全部入りと言っていいほど機能を詰め込んでおきながらこのサイズと軽さに収まってるのはさすがだと思いました。センサはAPS-Cですからフルサイズセンサより同じ画角のレンズでは望遠に有利ですのでメインでフルサイズのカメラを使っているような人にもサブとして持つのも有りかもしれません。

おまけ

 開封の儀はやらなかったけれど梱包の義はやった。ありがとうα6000。

加えて1ヶ月モニターさせていただいたαアンバサダーに感謝申し上げます。

おわり